近年、お酒を買取品の対象にする店舗が増えてきました。
それを知って、サイドボードに並べていたボトルを持ち込む方も少なくないと思います。ここで、お酒の買取について簡単にまとめてみましょう。
■買取対象は?
以下は、多くのお店で共通する基準と思われます。
・開栓していないものに限る
・キャップが空回りするものはコルク破損の可能性があるので買取対象外
・ボトルがバカラ社製など、貴重なものは空ボトルでも買取対象
・蒸留酒(ウイスキーやブランデー、焼酎など)は悪くなりにくいので、保管年数問わず
・日本酒(清酒)は製造から1年が販売できる期限
・高級ワインは保管状況による
■どんなものが人気なの?
お酒買取の中心は、年数が経過しても味が落ちにくいウイスキー。
洋酒だけでなく、国産ウイスキーも大人気の今、その価値が見直されています。
同じ銘柄でも熟成年数(「12年」「18 Years Old」など)が長いほど高くなり、貴重になっていきます。
特に日本では「山崎」や「響」などが有名。ヴィンテージ・ウイスキーも数多くあります。
またウイスキーと同類のブランデーも人気があります。
「カミュ」や「ヘネシー」といった昔から有名なメーカーおよびブランドは、ボトルの形状や名称、等級などによって価格がかなり変わります。その王座に君臨するのが「レミーマルタン」の「ルイ13世」でしょう。
よく勘違いされているのは「ナポレオン」。これはブランド名でも銘柄でもなく、あくまで熟成年数などによる「等級」のひとつでしかありません。簡潔に言えばメーカーやブランドにとっての「特級品」という意味です。そのため有名メーカーでもないナポレオンは買取額が数百円になってしまうことも少なくありません。日本人にとってのナポレオンは「高級なレミーマルタンのナポレオン」や「高級なカミュのナポレオン」を意味していたはずが、いつの間にか言葉がひとり歩きして「ナポレオン=高級なお酒」というイメージにすり替わってしまったのですね。
■値段はどう決まるの?
お酒の買取は、購入額や当時の新品価格は無関係で「現在の中古流通相場」が基準となります。
現在の流通額を基準にするため「当時は高かった」洋酒が数百円から1,000円程度になってしまうことも少なくありません。
というのも、当時のウイスキーは贅沢品として高い酒税がかかっており、また洋酒は関税もかかるため日本国内で買うには高級品。そもそも1ドル360円の時代なので、現在とは物価自体も違います。そのため日本国内の税金が無関係で、免税適応可能な海外のお土産品として洋酒は人気でした。
1989年、酒税法改正によってウイスキーが大幅値下げ。その後も値段の改変や商品改良は続き、現在では1,000円~2,000円で良質なウイスキーのボトルが買える時代になりました。
だからこそ「当時は高かった」ウイスキーは、現在では無関係な税金部分の値段が大きく、品物の流通額はきわめて低くなってしまっています。特に「ジョニーウォーカー 黒ラベル」などはこの代表。しかしご本人にとっては「給料3万円の時代に、その1/3の1万円も出して買った」という事実と思い出が強く、納得できないようです。
お酒は、未開栓でも扱いは中古流通になるため、複数の要素を調べてモデルを特定し、中古相場の流通価格を調べて買取額が決定されます。
そのために調べる要素となるのは、主に以下の内容(カッコ内は例)です。
・メーカーやブランド(レミーマルタン)
・銘柄(ルイ13世)
・等級(V.S.O.P.)または年数(18年)
・容量(700ml)
・形状(トゲトゲがついているボトル)
・付属品(化粧箱・替栓)
・状態(少し沈殿物あり)
その多くはラベル面に列挙されているので、その部分に書いてある内容を伝えてもらえれば、おおよその価格を調べることができます。そのうえで実際に見せていただき、保管状態などを加味して査定額が決定します。
お酒はボトルの外観を眺めて楽しめるため、箱を捨ててしまった人も多いと思います。箱がなくても価格に差が出ないものも多いですが、中には例に挙げたルイ13世のような希少品は、付属品によって価格に大きな差が出ることが少なくありません。それ以外にも変わった箱であれば、そのケース自体にも価値が出ている可能性があります。
また一部の「ご当地焼酎」なども高額になっていますが、人気にあやかった中間業者が値段を釣り上げているものが多く、一般の新品価格と実際の中古相場とでは大きな開きがあります。
さらにはお土産物など、手軽に焼酎が楽しめるブームになっているため、一部の人気が高い銘柄を除き、焼酎はウイスキーほど相場全体がパッとしない印象です。
■飲まないなら「処分」
年数が経過したものでも、蒸留酒は立派に飲めます。
風味が落ちたり味が変わっている可能性がありますが、人体への悪影響もないそうです。
それでも風化したラベルやボトル、液体の中に浮いている沈殿物などを見ると「大丈夫かな……」という気分になってしまうと思います。そう思ってしまうと、そのお酒はきっと、飲まれることはないでしょう。
それならいっそ、売却してしまいませんか?
当時の購入額を基準にして査定に出すと残念な買取額になると思いますが、それが現在の価値です。もし持ち帰っても、飲むこともなく飾り直されるだけでしょう。
もしも質屋や買取店にお任せいただけるなら、必要とする次の方に、そのお酒はつなぐことができます。
お酒の出張買取をしている店舗も多いですが、買取価格の基準は店舗によってさまざま。処分すると決めたら、いろいろな店舗で話を聞いてから決めるのも大切ですね。