片付けで出てくる「価値がありそう」なモノ その3

前回、前々回に続き、お片付けで出てくる売れる可能性のあるものについてご説明いたします。

 

【機能性の問題】

時代とともに変わっていくのは、家電品も同様です。生活家電などは買い換える方が多いと思いますが、趣味嗜好品はどうしてもマニアックな価値を求めてしまうもの。しかしデジタル技術の登場により、その価値観は根底から崩れています。

・古いオートマのカメラ
デジタルカメラの普及により、次第に衰退していったフィルムカメラ。携帯電話とスマートフォンの普及がそれに拍車を掛けました。
しかしカメラのマニュアル機は、今でも機種により多少の「パーツ需要」が存在します。ところがオートマ機は直してまで使いたいという人がきわめて少なく、そういった需要が望めません。なぜならオートマ機の撮影性能は、今やスマホのほうが上。自分で撮影加減を楽しめるマニュアル機と違い、均一のピントになるオートマ機は、撮影だけに特化しているため、現在のデジタル技術の前では需要が皆無なのです。

・古いムービー
よく「給料の○ヶ月分」と表現されたカメラ。それよりさらに高く、運動会の花形だったムービー。これも現在では高性能かつ廉価になり、多くの家庭に普及しています。
カメラと違ってムービーは家電に近く、常に進歩してきました。録画メディアも時代とともに変化していき、昔のムービーは記録媒体そのものがてにはいりません。そのため部品需要がカメラのオートマ機以上にありません。
また性能も、カメラと同じくスマホのほうが上。基本的にオートフォーカスのためカメラのマニュアル機のような楽しみもなく、当時物をわざわざ使用する人はほとんどいません。

・古いレコードやCD
オーナーさんの青春を彩った音楽ソフト。アナログレコードや、古いCD。そういったものも価値が出ているのは未CD化のLPや海外CDなど、きわめてマニアックなごく一部のみです。
基本的に音楽はファッションと同じで流行り廃り。そのうえ現在では再発CDが出ていたり、MP3でお好みの曲だけ購入することができます。ソフトやデータを持たず、定額サービスで好きな曲だけ聴いて楽しむ層も急激に増えています。
ごくごく一部の価値が出ている廃盤などは専門店で見てもらう必要がありますが、そもそもそうした業者さんを利用する方は現状を熟知している方。そのため、家庭にごっそり眠っていただけの昔のソフトは、あまり期待ができません。

・古い時計
ロレックスなど海外の高級時計が高額取引されている昨今、古い時計も価値があるように見えますよね。
たしかに有名ブランドのビンテージ品などは希少品として取引されますが、家庭から見つかる時計のほとんどは、残念ながらそうではありません。その多くが古いだけの普及品で、自動巻きでもメンテナンスをしていなかったり、電池式では電池が腐食して動かないものも多いでしょう。
時計も進歩を続けるものなので、昔の一般的な時計を直してまで使う人はほとんどいません。ましてや現在、腕時計はホームセンターや100円均一のお店でも手に入る時代。よほどのコレクター価値があるものでもない限り、買取対象にはならないでしょう。壊れていても高級ブランドならパーツ需要や修理需要がある可能性もありますが、一般メーカーのものはそうした需要も望めないのが現状です。価値がありそうに見える懐中時計なども、実用性に乏しく、中古品としての需要がごくわずか。ケースが金製や銀製で地金計算ができるものもありますが、多くはコレクション価値も出ていません。

 

【を使うのも手段のひとつ】

「価値がないのか……じゃあ無料で引き取ってもらおう!」
と思う方も、少なくないでしょう。しかし残念ながら、現在は何かを廃棄するだけでもお金がかかる時代。「家電リサイクル法」にのっとっての処分や、「粗大ごみ」として有償で引き取ってもらうことが一般化しています。
そのため大規模リサイクル店でも、無料引取できるものは非常に限られます。店舗はどうしても利益があることで運営できますから、完全無償の奉仕活動とは異なります。

そこで時代に合わせた業種、「回収業者」を使う手段があります。
売却できなくても処分をしたいのであれば、少しずつリサイクル店に運んで売れないものを持ち帰ってくる手間をなくし、一気に回収業者に引き取ってもらうのも手段のひとつです。

物量に合わせてトラックの大きさと料金が変わったり、家1件まるごとの見積もりができるなど、業者さんによって料金はまったく異なります。代金を支払うことになりますが、何より「時間と手間」をなくすことができます。ただし中には高額な業者さんもいるので、業者選びは慎重におこないましょう。
また回収業者は「有償で回収する」だけなので、買取や出張での査定はしません。少しでもお金にしたいという方には不向きなので、その場合はリサイクル店へ持ち込むなど、どうしてもご自身の労力を使う必要があります。しかし上記のような品物の場合は持ち帰るだけになってしまうため、どこかで価値観を線引きして「あきらめること」が肝要です。
リサイクル店では出張買取をおこなっている店も多いですが、出張するほどの利益が見出せない案件や、無料回収を目的とした内容では断られる可能性が高いです。

いかがでしょうか?
モノの価値観は時代とともに、常に変わるもの。
一時期「断捨離」という言葉がブームになりましたが、本当に「ミニマム・ライフ」になれる人はごくわずか。やはり人間、モノへの執着は捨てられませんよね。それでも居住スペースの問題などで、少なからず処分する姿勢が必要な時代。若い方はインターネットを活用して価値があるかを迅速に調べ、壊れた家電を買い換えるように処分を試みる方も少なくありません。そうした方は、遺産相続などの場合でも上手に処分できるでしょう。
いわゆる「断捨離」や「終活」を目的としている方は、まず現在の価値観を受け入れることが必要となります。そのうえで売却と処分を天秤にかけ、あるいは所蔵し続けることも視野に入れ、対象とする品目を絞っていくことになるでしょう。売却する労力を考えると「片付けるなら、片付ける!」と決め込むのも楽かもしれませんね。

片付けで出てくる「価値がありそう」なモノ その2

前回に続き、お片付けで出てくる売れる可能性のあるものについてご説明いたします。

【住環境変化の問題】

現在はアパート・マンション暮らしがスタンダードになり、コンパクトな居住スペースを占領してしまうインテリアは好まれなくなくなりました。
また調度品としても現代的なものが多く出ているため、当時の「一軒家の和室や居間に飾る」前提のものは買い手もおらず、需要が激減。
さらに買取店では買取査定はしますが、真贋にもとづく「鑑定」はできないため、多くが「現状品のインテリア」としての価値観になってしまいます。
どれも現在ではインテリアとしての実用性があまり望めないため、買取対象にしていない店舗も多いようです。
また、真贋や骨董的価値をお求めの場合、鑑定料が必要となる可能性が高いますが、骨董を専門に扱うお店に持ち込むのが賢明でしょう。

 

・花瓶や壺などの焼き物
立派な桐箱に入っていて、作品名や作者名が墨書きされている壺。さらに有名な「○○焼」という表記まで。
いかにも期待してしまいますが、実際には価値が出ていないものがほとんど。骨董とまでいかない、日常品がほとんどです。

・絵画(複製・リトグラフ)
展覧会などで、お好きな方向けに高額で販売されている複製画。複製とはいえ繊細なので、額に入れて保管しないとすぐに汚れがついてしまいます。
よほど名のある作家や人気作家のものでない限り、中古相場では高くなっていません。また複製画である以上、多数存在します。そうした需要の影響が強く関与し、専門店でないときちんとした額は期待できないでしょう。

・掛け軸
一見、価値がありそうなアイテムの代表格。軸棒が象牙で作られたものは価値が高い傾向にあり、有名作家の作品などは現在でも中古相場がありますが、真作である証明書などが必須。また買取査定ではなく「鑑定」が必須となります。
一般的に、軸棒がプラスチックで作られているものは普及品および廉価品で、家庭に眠る掛け軸の大半はこれにあたります。そのため真贋以前に、値段がつけられないものがほとんどです。

・家具
大規模な家具・インテリア量販店の定着により、もはや家具は「一生モノを持つ時代」から「定期的に買い換える時代」へ。機能性も向上し、時代に合わせたコンパクトな家具が好まれています。どんな定番品よりも、個々人のニーズに合わせた居住空間の作り方が求められる時代です。
そのため、歴史の重みがある立派な調度品でも二束三文。買取値段がつけばいい方で、そもそも家具を扱わない店舗が増えています。家具を買取対象とする大型リサイクル店でも基準が厳しくなり、また再販できないということは処分にもお金がかかるので、無料引取なども期待が薄くなっています。

 

【デザインなどの問題】

洋服なども含め、ファッション関連は軒並みそうですが、流行は変わっていくもの。当時の最先端だったデザインは数年もすると「昔」になってしまいます。
アクセサリー関係も、そのひとつ。たとえば遺品整理で見つかった数十年前の親族のアクセサリーを、そのまま使う方はあまりいません。ということは、中古販売してもそのままのデザインで欲しがる方がほとんどいないのです。
そのためアクセサリーは現在でも中古需要があるハイブランド品でもない限り、重さでの買取が一般的なのです。

・大きな色石アクセサリー
1980~1990年代に流行した、大きな色石がついたリングやネックレス。現在そのままのデザインでつける人がいないため、基本的に石部分を除外した、地金部分での計算になります。
ダイヤモンドやエメラルド、ルビーやサファイナなど現在でも宝石として単体価値がある石の場合は石自体に値段がつくことがありますが、大きさと石の良さありき。そのため小粒なものは評価から除外されることが少なくありません。
地金がほとんどなく、石だけで作られたネックレスやブレスレットなども、残念ながら石部分は除外されます。

・原石
そのように、未だに「宝石は何でも高価」というイメージがあります。そこへ無加工の原石が出てきたら、かなりの高額になると思ってしまうのではないでしょうか。
しかし宝石は、カットして加工し、商品として仕上げてからこそ販売時に値段がつくもの。そのままでは値段がつけられないものが多いです。ましてやダイヤやエメラルドといった価値の高い宝石の原石は、そうそう手に入りません。
お土産物として水晶やアメジストの原石を売っている観光地もありますよね。家から発見される原石は、そうしたものが多いように感じます。

・派手なメッキアクセサリー
安価で購入されるメッキ製品は、現在つける人がいない以前に、時代とともに劣化している可能性があります。使用・保管による変色やサビなど、そのままでは二次利用できないものが多くなっています。メンテナンスしてもデザイン上の問題で買い手がいないため、メッキ製品である時点で買取対象外になる可能性が非常に高いです。
またメッキのアクセサリーは、現在でもお手軽なものとして需要が高いので、最先端のデザインで新品が安く販売されています。そのため当時物をメンテナンスやリメイクしてまで再利用するという方は、ほとんどいないのです。

・象牙アクセサリー
象牙から加工されたり、その余り部分で作られたネックレスやブレスレット。印鑑などもそうですが、当時は象牙であるだけで重宝されていました。
こちらは現在つける人があまりいないうえに、ワシントン条約以後、象牙は細工品もあわせてほとんどが販売できなくなりました。当時の価格は高かったと思いますが、そういった理由で現在では買い取るお店がきわめて少なくなっています。

次回に続きます。