前回、前々回に続き、お片付けで出てくる売れる可能性のあるものについてご説明いたします。
【機能性の問題】
時代とともに変わっていくのは、家電品も同様です。生活家電などは買い換える方が多いと思いますが、趣味嗜好品はどうしてもマニアックな価値を求めてしまうもの。しかしデジタル技術の登場により、その価値観は根底から崩れています。
・古いオートマのカメラ
デジタルカメラの普及により、次第に衰退していったフィルムカメラ。携帯電話とスマートフォンの普及がそれに拍車を掛けました。
しかしカメラのマニュアル機は、今でも機種により多少の「パーツ需要」が存在します。ところがオートマ機は直してまで使いたいという人がきわめて少なく、そういった需要が望めません。なぜならオートマ機の撮影性能は、今やスマホのほうが上。自分で撮影加減を楽しめるマニュアル機と違い、均一のピントになるオートマ機は、撮影だけに特化しているため、現在のデジタル技術の前では需要が皆無なのです。
・古いムービー
よく「給料の○ヶ月分」と表現されたカメラ。それよりさらに高く、運動会の花形だったムービー。これも現在では高性能かつ廉価になり、多くの家庭に普及しています。
カメラと違ってムービーは家電に近く、常に進歩してきました。録画メディアも時代とともに変化していき、昔のムービーは記録媒体そのものがてにはいりません。そのため部品需要がカメラのオートマ機以上にありません。
また性能も、カメラと同じくスマホのほうが上。基本的にオートフォーカスのためカメラのマニュアル機のような楽しみもなく、当時物をわざわざ使用する人はほとんどいません。
・古いレコードやCD
オーナーさんの青春を彩った音楽ソフト。アナログレコードや、古いCD。そういったものも価値が出ているのは未CD化のLPや海外CDなど、きわめてマニアックなごく一部のみです。
基本的に音楽はファッションと同じで流行り廃り。そのうえ現在では再発CDが出ていたり、MP3でお好みの曲だけ購入することができます。ソフトやデータを持たず、定額サービスで好きな曲だけ聴いて楽しむ層も急激に増えています。
ごくごく一部の価値が出ている廃盤などは専門店で見てもらう必要がありますが、そもそもそうした業者さんを利用する方は現状を熟知している方。そのため、家庭にごっそり眠っていただけの昔のソフトは、あまり期待ができません。
・古い時計
ロレックスなど海外の高級時計が高額取引されている昨今、古い時計も価値があるように見えますよね。
たしかに有名ブランドのビンテージ品などは希少品として取引されますが、家庭から見つかる時計のほとんどは、残念ながらそうではありません。その多くが古いだけの普及品で、自動巻きでもメンテナンスをしていなかったり、電池式では電池が腐食して動かないものも多いでしょう。
時計も進歩を続けるものなので、昔の一般的な時計を直してまで使う人はほとんどいません。ましてや現在、腕時計はホームセンターや100円均一のお店でも手に入る時代。よほどのコレクター価値があるものでもない限り、買取対象にはならないでしょう。壊れていても高級ブランドならパーツ需要や修理需要がある可能性もありますが、一般メーカーのものはそうした需要も望めないのが現状です。価値がありそうに見える懐中時計なども、実用性に乏しく、中古品としての需要がごくわずか。ケースが金製や銀製で地金計算ができるものもありますが、多くはコレクション価値も出ていません。
【を使うのも手段のひとつ】
「価値がないのか……じゃあ無料で引き取ってもらおう!」
と思う方も、少なくないでしょう。しかし残念ながら、現在は何かを廃棄するだけでもお金がかかる時代。「家電リサイクル法」にのっとっての処分や、「粗大ごみ」として有償で引き取ってもらうことが一般化しています。
そのため大規模リサイクル店でも、無料引取できるものは非常に限られます。店舗はどうしても利益があることで運営できますから、完全無償の奉仕活動とは異なります。
そこで時代に合わせた業種、「回収業者」を使う手段があります。
売却できなくても処分をしたいのであれば、少しずつリサイクル店に運んで売れないものを持ち帰ってくる手間をなくし、一気に回収業者に引き取ってもらうのも手段のひとつです。
物量に合わせてトラックの大きさと料金が変わったり、家1件まるごとの見積もりができるなど、業者さんによって料金はまったく異なります。代金を支払うことになりますが、何より「時間と手間」をなくすことができます。ただし中には高額な業者さんもいるので、業者選びは慎重におこないましょう。
また回収業者は「有償で回収する」だけなので、買取や出張での査定はしません。少しでもお金にしたいという方には不向きなので、その場合はリサイクル店へ持ち込むなど、どうしてもご自身の労力を使う必要があります。しかし上記のような品物の場合は持ち帰るだけになってしまうため、どこかで価値観を線引きして「あきらめること」が肝要です。
リサイクル店では出張買取をおこなっている店も多いですが、出張するほどの利益が見出せない案件や、無料回収を目的とした内容では断られる可能性が高いです。
いかがでしょうか?
モノの価値観は時代とともに、常に変わるもの。
一時期「断捨離」という言葉がブームになりましたが、本当に「ミニマム・ライフ」になれる人はごくわずか。やはり人間、モノへの執着は捨てられませんよね。それでも居住スペースの問題などで、少なからず処分する姿勢が必要な時代。若い方はインターネットを活用して価値があるかを迅速に調べ、壊れた家電を買い換えるように処分を試みる方も少なくありません。そうした方は、遺産相続などの場合でも上手に処分できるでしょう。
いわゆる「断捨離」や「終活」を目的としている方は、まず現在の価値観を受け入れることが必要となります。そのうえで売却と処分を天秤にかけ、あるいは所蔵し続けることも視野に入れ、対象とする品目を絞っていくことになるでしょう。売却する労力を考えると「片付けるなら、片付ける!」と決め込むのも楽かもしれませんね。