よく耳にする「ジャンク品」という表記。中古品の世界ではだいぶ浸透してきましたが、中にはまだご存知ない方もいらっしゃいます。ほとんどの店舗がジャンク品の理由をプライスカードに明記していますが、どうしても格安な価格にだけ目がいってしまい、動作不良の旨を記した説明を読まずに購入してトラブルになる事例も多くあります。リサイクル店に通い慣れていないと、どうしても量販店のように「売っている=動作する前提」で見てしまうのでしょうね。
「ジャンク品」とは何でしょうか?
平たく言えば「破損・不良などにより本来の製品としての利用価値を失っている品物」のことです。業界内部から言われ始めた言葉のため、完全に明確な定義はありません。また業界により定義が多少変わりますが、おおよその定義は以下のようなものです。
・一部、もしくは全部が動作しない
・通常使用するには致命的欠陥や欠品がある
・動作確認ができないため、動作保証がない
・年式により動作保証ができない
いずれも、お客様がお持ちになった、現状での買取から販売している中古品ならでは。新品ではまずあり得ない状態ですよね。それでも価格が安ければ購入したいという需要が確実にあり、昨今のジャンク品という扱いに発展しています。しかし動作品ではなかったり、動作保証がない場合がほとんどなので、ジャンク品は何らかの問題があっても基本的に返品・交換の対象外です。
どう使うために購入するの?
・パーツ目的
たとえばパソコンは、CPUやメモリなどを抜き出し、組み直して自作PCを作ることができます。オーディオ好きの方もアンプ用の真空管などを探し、そうしたパーツを組み合わせて自作機を作る方もいます。またカメラは一部分を抜き出し、手持ち品の修理用に流用することも一般的です。そういった需要が確実にあるので、昨今「ジャンクパーツ」という言われ方もしています。
・「ニコイチ」してひとつにする
こちらは、上記に近い発想。難のある2台を組み合わせ、動作に問題がない1台を組み上げるのです。主にパソコンなどでおこなわれますが、これを「ニコイチ」と呼びます。ディスプレイと本体、スピーカーと本体、電気系統とギターのボディ……というように、技術があればできる行為で、残ってしまった不良部分は、またジャンク品としてリサイクル店に売却したり、または処分してもらったりすることができるかもしれません。
・イチかバチかで動作未確認を買う
シンプルかつ意外と多いのが、この目的。
主に「動作未確認」のアイテムに関して、「安いから動作しなかったら捨ててもいい」という賭けにも似た買い方をするもの。特にマウスやキーボードといった比較的安価なものは、これをやってみる方も少なくありません。もちろん成功して得をすることもあれば、失敗して不良品であることも少なくありません。基本的にジャンク品は返品・交換の対象外なので、くれぐれも動作不良のクレームは控えましょう。
・動作テスト用
主にケーブルなどの消耗品や、フィルムやメモリーカード、カメラ類などは「他機種のテスト用」という視点でも役に立ちます。しかしテスト用に買ったはいいものの、それ自体が不良品ということも当然あり得ますので、くれぐれもご注意ください。
・修理して使う
故障部分を自分または家電屋さんで修理する前提で、仕入れとして購入するケース。程度の軽い不良と判断できれば、この手段も大いに活用できます。
ただしジャンク品の場合、他の箇所に不具合があっても返品・交換理由にはならないのでお気をつけください。また修理代が本体代より高くなることも多々ありますので、修理相場に詳しいか、自分での修理に自信がある方にのみオススメです。
・現状品として使う
意外と多い理由が、こちら。動作しない部分がある、リモコンが欠品している、ステレオの音が片方しか出ない……といった「ジャンク品の理由」を飲み込んで、そのまま使う前提での購入です。不良部分を承知で使う分には問題ないため、価格とジャンク理由を天秤にかけて購入を検討する方も多いです。
どんなものがジャンク品になるの?
このように用途・需要が広いジャンク品でも、ある程度の制限はあります。どんなものでもジャンク品として販売されるわけではありません。それでは、どんなものがジャンク品になるのでしょうか?
・基本的には電化製品(AV家電)や腕時計など、機械式のもの
ジャンク品の王道は、電化製品。特に年式に左右されづらく、パーツとしての需要が高いAV情報家電が多い傾向です。または時計もパーツ用としての需要などはありますが、どんな不良品も受け入れていると在庫過多になって管理できなくなってしまうため、店舗によってブランドやモデル、状態や販売想定額などで制限している場合も多いです。なお、楽器類もジャンク品の幅が広く、ネック反りのあるギターや通電しない楽器、ノイズのあるアンプやシタールのような動作保証がしづらい楽器なども手広くジャンク品として扱われています。
・生活家電はジャンク品での販売が難しい
冷蔵庫や電子レンジ、掃除機といった生活家電はスペースを取り、買い替えにも多くの手間が必要なので、ジャンク基準は年式による理由が多い傾向です。家電品は一般的に生産から5年で純正修理パーツの生産が止まるため、中古動作品としての買取は生産されてから5年程度の店舗が多いです。そのため、それ以後数年のモデルは「修理不可・動作保証なし」という前提でジャンク品販売する場合があります。また生活家電はモデルチェンジが多いため、型落ち品は新品でも安価になりやすいものです。そのため不具合品や破損品は安くても購入需要が少なく、ジャンク品目的の用途も僅少。そのため商品になるかどうかの視点が厳しく、買取不可になる店舗が多いようです。
・何らかの危険があるものはジャンク扱いにはしない
ケーブルが破損して銅線が出ている、爆発や破損などのおそれがある、二次被害を及ぼす可能性がある、メーカーのリコール品……などは、多くの店舗はコンプライアンスの視点からジャンク扱いにもせず、買取を断ります。たしかにジャンク品は基本的に自己責任ではありますが、見て明らかな問題がある場合やケガをする可能性がある場合は、お店でもモラルやマナーといった人間的な部分を重視するのですね。そのため、たとえば「家具のジャンク品」というものは、きわめて少ないはずです。倒壊・崩落による二次被害が容易に想定できるからです。
・他はジャンク状態でも値段がつく「特例」のみ
機械式のもの以外でも、ジャンク品という定義を使うことはできます。たとえば劣化したブランドバッグ、ほつれの多いブランド服、可動部分やパーツが不足しているホビー、人気商品なのに通電しないインテリア、電源の入らないゲーム機……ジャンク品という定義を使おうとすれば、際限なく可能です。しかし時計の部分で触れたように、すべてを許容してしまうとお店がパンクしてしまいます。そのためバッグや衣料品は「その状態でも買い手がつくハイブランド品」、ホビーやインテリアは「その状態でも買い手がつく人気商品」、ゲーム機は「内蔵ハードディスクの再利用目的需要があるモデル」「インテリア用途のレトロアイテム」などに絞って、なるべく不良在庫にならないものだけを買い取ると思います。しかしその基準は店舗によるので、状態や品物、ブランドなどを詳しく問い合わせてみたほうがいいでしょう。
有効活用できれば、とても安価で便利なジャンク品。どうしても新品や中古動作品のような各種保証はありませんが、うまく使えばお得なジャンルです。 その言葉が耳慣れない方も、ジャンク品コーナーを覗いてみてはいかがでしょうか?格安商品や懐かしいものを目にして、興味が湧いてくるかもしれませんよ。