今回は、渋沢栄一と質屋についてです。
2024年より新一万円券(一万円札)の肖像になる、渋沢栄一。
その決定から改めて業績が讃えられ、大河ドラマの主人公になるほど脚光を浴びています。
渋沢栄一は「資本主義の父」と呼ばれ、数え切れないほどの企業設立や企業育成に関わり、現在のみずほ銀行につながる日本初の銀行を開業するなど近代経済に多大な影響を与えた偉人です。
その渋沢が、実は質屋と関わりがあったことをご存知ですか?
以前「龍馬と質屋」で坂本龍馬の実家が質屋も営んでいたという話をお伝えしましたが、渋沢も境遇が似てます。渋沢の実家は養蚕や藍玉の製造販売、雑貨屋など複数の事業を営む「中の家」と呼ばれる豪農でした。
そのため幼い頃より仕入れと販売の計算を見慣れており、渋沢自身も14歳になると自分で仕入れに出るようになります。さらには質屋のやり取りも見ているため、そこで商業的センスが磨かれたと言われています。
この旧渋沢邸「中の家」は現存しており、中庭から建物の外観を見学することができるそうです。どのあたりで養蚕をやっていて、どのあたりで質屋をやっていたかなど想像を巡らせながら見学すると楽しそうですね。それを渋沢が勉強しながら眺めていたと想像すると、歴史浪漫を感じます。
その後尊皇攘夷に加わり、真逆の徳川慶喜の家臣に登用、ヨーロッパ使節団を経てニッポンの夜明けに大貢献した渋沢栄一。実家で学んだ論語や儒教、経済最先端のヨーロッパに学んだことが大いに活きています
中でも実家が質屋さんと知ると、親しみが湧きますよね。福沢諭吉でなくなることを淋しく感じていましたが、これで紙幣の刷新が楽しみになりました。
新しい一万円札になったら、質屋さんでお金を借りる時に「この人、実家が質屋さんなんだよね」と話してみましょう。意外と知らない質屋さんも多いので、話のタネになるかもしれませんよ。