古いカメラも値段がつくの?

古いカメラも値段がつくの?


フィルム時代のカメラは高価なものが多く、マニュアル操作のMF機一眼レフはみんなの憧れ。購入当時は「給料の何ヶ月分」もしたという、思い入れの強い「相棒」。ところが査定額は極端に低かったり、値段をつけることもできなかったり……。どうしてそんな現状なのでしょうか?

最大の原因は、先に記述した「デジタルカメラの高性能化・廉価による普及」「スマートフォンの一般化」。つまりは技術の向上とデジタルの一般化により、フィルム構造のアナログ機種全般の需要が激減していったのです。

「実用の撮影機種として」の価値は、一部の専門カメラマン以外には、ほとんどなくなってしまいました。よって、買い取ってもそのまま使用する方がほとんどいないのです。
まだ実用する方がいて、どこか一部が壊れることが多いマニュアル機(MF機)は、その修理用パーツとしての需要があります。ただしマニュアルなら何でもというわけではなく、修理してでも使いたい人気機種に限られます。
あるいはキヤノンやニコンの初期モデルなどは、コレクター価値があります。しかし、コレクション価値は希少性から発生するので、一般にひろく普及していた機種では期待できません。

転じて、オートフォーカス(AF機)は現在デジカメのオートフォーカスが一般的になっているため、修理してでも使いたいという需要がほとんどありません。AF機を廉価にしたコンパクトカメラも同様で、コレクター価値もほとんどありません。よってオートの時点で買取はかなり厳しくなります。
その中でもメーカーや機種によっては価値があるものもあり、ライカのカメラや、ボディにチタンを使用したコンタックスなどはコレクター価値が出ています。
レトロ感あふれてパッと見ると価値がありそうな、マミヤの中版カメラやヤシカの二眼レフカメラなどは、一般のフィルムが使えないため実用性がありません。VHSなどのムービーも実用性がほぼなく、パーツとしても需要がありません。希少な機種を除いてコレクション価値も高くないので、インテリア需要程度に絞られてしまいます。

マニュアル機だけは画素数に限らず高性能なため、比較的昔の機種でも値段はつきやすい傾向です。それでも価値は常に変動しているので、価格として強くは期待しないほうがいいでしょう。

 

カメラにつきものの、レンズはどうでしょうか?
まず大前提として「マウントありき」の視点から始まります。
マウントとは、レンズをボディに装着する部分の形のこと。これがメーカーにより異なるため、需要が低いメーカーのレンズは装着することができず、使用できないため価値が出ません。
そのうえで、マニュアル機向けのレンズはまだ需要があります。特に広角レンズや魚眼レンズなどは、今でも探している人が少なくありません。

フィルムもデジタルもレンズも、総合的に「状態」によります。
何についてもキレイなもののほうが値段もつきやすいですが、カメラ類は特に、構造が複雑で実用側面が強いので、状態による価格の影響が強く出ます。
使用による汚れやキズだけではなく、保存状態によるカビ、使用感と保存状態が出るボディのフィルムかすなど、メンテナンスを怠るとすぐに何らかの難点が出ます。特にカビは要注意。カメラの内部や、レンズ内部のカビは致命的。時計のオーバーホールさながらに、すべて分解しないと掃除ができないからです。
普段から除湿されている保管庫に入れるなどできればいいのですが……実際には管理が難しく、日本の多湿な気候にさらされ続け、カビてしまいがちです。
そのような状態になると中古品・実用品としての視点ではなく、パーツとしての価値しかなくなります。動作が保証できない「ジャンク品」と呼ばれるものですね。そうなると価格はもちろん、一気に下がってしまいます。

 

以上、古いカメラについて記述してきましたが、長年使用してきた「愛機」は手放しづらいもの。愛情があるからこそ、査定額にがっかりしてしまうんですよね。むしろ買取に出すより質預かりを検討したり、あるいは大切に保管しておくことも選択肢に入れると、愛用した気持も手放さずに済みます。
買取店や質屋は、お客さんの「思い出」に値段をつけることはできません。あくまで「現在の状態と、現在の中古相場」でしか値段をつけられないのです。
だから値段だけではなく、思い出と一緒に「あえて手放さない」という選択肢をとるのも、悪いことではないと思いますよ。