「貴金属なんて、どうせグラムで計るんだから、どこでも買取は同じでしょ?」
意外なほど、こうおっしゃる方がいらっしゃいます。あるいは「えっ? 新聞に載ってる値段じゃないの?」という声もよく耳にします。実は、いずれも「思い込み」。金の買取価格は店舗によって異なりますし、多くの新聞に載っている価格はお客さんの多くが持参する18金アクセサリーの価格ではないのです。
【貴金属買取の仕組み】
貴金属業者が、日本国内の業者相場を決定します。その国内業者相場を参考にして決められるのが、各買取店の買取価格です。金も、すべての物流や小売と同じく、業者間を経るごとに中間マージンが発生します。その額は企業によるコストや利益などで採算されているので、貴金属業者や買取店によって異なります。
ホームページで公表している業者も多いので、持ち込む前に貴金属業者の相場と買取店の相場をチェックするだけでも差が見えてくると思います。
【新聞に公表されている金額は?】
よく聞く「新聞の価格」ですが、主に「プラチナ」「金」とだけ銘打たれているものが多いと思います。それらの多くは「Pt1000=純プラチナのインゴット(延べ棒)」「K24=純金のインゴット」を意味します。それをスポンサー掲載しているのが貴金属業者であれば、その企業での価格です。この数字はあくまで「最高水準」であって「貴金属価格の基準」でしかないのです。
【貴金属買取の注意点】
買取店に売却する一般の方にとって最も重要なのは、やはり買取店の価格。
大規模の買取店や多くの質屋は価格を公表していますが、小規模の路面店などでは公表していない店舗も多い印象です。そういった価格を公表していないお店では、買取額が安くなる可能性もあります。
以下に、よく耳にする実例をもとに、注意点をピックアップしていきます。
・グラム単価が公表されているお店は、査定結果のグラム単価と比較する
持ち込み前に、あらかじめ家庭用スケール(はかり)で重さを量っておき、提示額から割り算してグラム単価を計算してみましょう。
・買取に手数料がかかる?
この手数料というのは多くが「買取価格を下げるための口実」として存在している可能性が高まります。もしも「手数料」という言葉が出てきたら、できればそれを追求してみましょう。
・精錬加工費がかかる?
これも手数料と同様の理由づけとして用いられる事が多いです。
もしもこのワードが出た場合は「自社で加工しているんですか?」と聞いてみましょう。
・査定結果に「端数」がない?
もしも端数がなくキレイな数字だった場合、その時点で疑いましょう。
貴金属のレートは常に変動していますが、ほぼ1円単位まで設定されます。買取は、そのレートに対してランダムな貴金属0.1g単位での重さの掛け算をするわけですから、ほとんどの場合は1円や10円単位の端数が出ます。
・「『ITALY』刻印は14金扱い」と言われた
これは業界内で「18金を14金で買い取る手段」として有名です。
買取業者に言わせると「『ITALY』刻印はイタリア独自の基準で18金であるため、実際には金の含有率が低く、実質的に14金である」という説明ですが、もちろんそんなことはありません。
・「10金や9金は値段がつかないが、無料で引き取る」と提案された
これも、もちろんそんなことはありません。
それぞれ41.7%、37.5%の金が含有されているため、買取単価はだいぶ低くなりますが、きちんと買い取ることができます。
・「汚れや破損などの状態で価格が変わる」と言われた
「切れていると使いないので、安くなる」「汚れていると掃除が必要なので、安くなる」……そういった説明を受けた方も、多いようです。
しかし貴金属は「地金としてグラム計算する」ことが基本。買取後に業者に流れたあとは、溶かされて再利用されます。そのため、破損や汚れは基本的に無関係です。
・伝えられた重量に疑問を呈したら「家庭のはかりとは違う」と言われた
これは、持ち込む前に自分で計測した場合、違和感を覚えた査定結果の重量を聞くと言われやすい言葉です。
・売り控えると一気に値上がりする
査定額に納得がいかず、査定額の見直しをお願いしたり、持ち帰ろうとするとすると急な買取価格アップになることがあります。
もともと「利益」としてキープしていた部分を、お客さんに譲歩しているのです。
・クーポンでキャッシュバック
チラシやメルマガ、SNSアプリなどのクーポンで「買取価格10%アップ」などがあると思います。最初から最大査定額を提供する店舗は、もともと利益幅が低く設定されているため、このようなキャンペーンは打たないどころか、打てないはずです。
・宅配買取と店頭買取でグラム単価が違う
店舗にその日のレートで買い取れるか問い合わせてみましょう。
そもそも、なぜ宅配買取と実店舗で買取価格が変わるのか、考えてみれば不思議ですよね。
・日付が変更されなくてもレートが変わる
日をたまがずに買取レートが下がるのは不自然です。朝の発表から急になぜそのような変更があったのか、納得のいく説明を求めてみましょう。
安心のお店で納得の査定結果を得てから売るようにしましょう!