「質札」は大切です

質屋がお品物を預かる際、発行される「質札」。お預かりの際、どの質屋もお客様に必ずお渡ししています。利息のお支払いや引き出しの際「なくしてしまった」「見つからない」という方も少なくありませんが、実は大切なものです。
質預かりを「契約」、質札を「契約書」と考えれば、その大切さがわかるかと思います。

■そもそも「質札」って何?
質札は、お品物をお預かりした際に発行される、取引内容を記した紙のことです。お預かり内容についての証書であり、引き出す際にはお品物の「預り証」として引き換えするのが原則です。質屋は、この質札をお客様にお渡しすることが「質屋営業法」の第十五条で義務づけられており、続く第十六条ではお品物と引き換えに質札を返還してもらうことが定められています。
質札にはお品物の詳細、借りた金額、流質の期限、質料などのお取引情報が書かれています。また細かい説明などが記され、店舗情報も併記されている場合がほとんどだと思います。これは契約内容や取引を締結した両者の名前、約款などが書かれた「契約書」と同じなのです。

 

■質預かりは「契約」のひとつ
お品物と引き換えに金銭授受をおこなう質預かりは、略式ではありますが「契約」のひとつ。質屋営業法でも「質契約」と表記され、立派な契約として扱われています。品物を担保に金銭授受をおこなうのは、言い換えれば車や住宅のローンと同じです。質預かりも車や家のローンも、返済できなくなると担保がなくなってしまいます。そのためお預かりから3ヶ月後の借り入れ延長は「再契約」となりますし、お品物を流してしまうことは再契約がなされていないため「契約終了」を意味します。

■質札をなくした場合
多くの質屋では、ご本人様であれば質札がなくても、ご本人確認のうえ利息のお支払いやお品物の引き出しが可能だと思います。しかし質札はご本人様からの申し出でお願いされても、再発行はできません。
これは「契約書をなくしたから、再発行してほしい」というお申し出と同じことになってしまうのです。

■質札を持っていても代理人ではいけないの?
代理の方の場合、お店によってご対応が異なります。
中には利息のお支払いも、お品物をお出しになるのも、ご本人以外いっさい不可のお店もあります。

■なぜ質札は再発行できないの?
質札は、契約者ご本人様専用。ご本人の自己管理でお願いしておりますので、再発行できないことは前述の通りです。
契約書の再発行が難しいことを比喩に挙げましたが、質札には「お品物と引き換え」というリスクがあります。
もし質札がなくても本人以外の引き出しが可能になるとご本人様からの許諾なく、話に聞いていた友人やご家族様が自分のものにしたり転売目的のため、勝手に出してしまうこともできてしまいます。
依頼の証書にもなる質札をご本人様から受け取っていれば、ご家族様でもお出しになれるお店が多いです。
それでも、ご家族様といえど代理の方の場合は質札が必須になり、ご本人様とのご関係をうかがい、身分証明書の提示をお願いしています。あるいはご友人などの場合、お電話で契約者様ご本人に確認を取るなどのステップが必要となります。そうした「ご本人からの依頼である確認」が必須なので、質預かりとお品物の返却は、買取と違って宅配でおこなえない場合が多いです。

■質札は大切に
質屋とお客様は信用で成り立っていますので、その「信用の証」のひとつが「質札」とも言えるでしょう。
質札は、お客様とお店をつなぐもの。ぜひとも大切に保管をお願いします。