家電品は、お金を出して処分する時代です
皆さん、家にある家電品はどのぐらいありますか?
一般的な家庭では、テレビ、エアコン、洗濯機、炊飯器などから小物まで、さまざまなものがあると思います。中には長年愛用されている方も多いでしょう。
新製品が発売されるサイクルが早い家電業界は、近年どちらかというと「長く使ってもらうより、数年から10年ほどで買い替えてもらう商品」を多く出しているように見受けられます。
もちろん商品などによりますが、ほぼ同じ仕様の製品が低価格で販売されたり、一部のマイナーチェンジを施して新発売されるくりかえしが多く見られます。
そのように新製品が続々と発売されているので、工場の修理部品も「5年程度を目安にして」生産を止めてしまう傾向にあるようです。よって、長く使えば使うほど修理パーツが希少になり、修理をするより買い替えた方がずっと安価になることが多くなっています。
そのためある程度使用したら、家電量販店に持ち込んで買い替えたり、リサイクル(リユース)のお店に売却するなどしている方が増えているのではないでしょうか。
家電品にはそのように「買い替え前提」のものが増えており、残念ながら、昔のように「大切に長く使う」時代ではなくなってきています。
修理パーツが5年程度で生産を終えるのですから、もちろんリサイクル店も年式を気にしています。製造から5年程度以内、長くて7年以内ほどでないと、使用・未使用も無関係で買い取らなくなっている店が多いと思います。
そのため、自分で処分しなくてはならなくなるのですが、その場合は2001年から実施されている「家電リサイクル法」によって、処分料が必須な時代になっています。
家電リサイクル法とは、「一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。」(以下の経済産業省ページより引用)
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/
こちらには「なぜ正しく処分しなくてはいけないのか」「正しい処分のしかた」なども、わかりやすく記述されています。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/fukyu_special/index.html
処分料には運搬料も加算され、自治体や品目などによって異なるため、一概に「テレビは〇〇円」などと言い切れません。
お住まいの市役所・区役所の「環境業務課」にお問い合わせいただければ、正確な料金や処分方法がわかります。
持ち込みでの有料回収をおこなっている家電量販店も多くありますので、そちらで問い合わせてみるのも方法のひとつです。
ここで気をつけたいのが、正しい処分をしない方法。
「処分するのにお金を出すなんて……」という心理に目をつけた、詐欺まがいの回収業者が多く実在します。
街なかを「洗濯機・冷蔵庫・パソコン・テレビ……無料回収いたします」などのアナウンスを流しながら回っているトラックを見たことはありませんか?
実は、こちらを利用するのは非常にリスクが高いのです。経済産業省のページにも表記されていますが、「無料をうたいながら、あとになって高額請求をする回収業者」が多く存在することに注意しなくてはいけません。
すべての回収トラックがそうではないと思いますが、かなり多くのトラブルが多発しています。 よく聞くのは「回収は無料」と話すケース。この場合の多くは、説明せずに積み込んでから「積み上げ・積み下ろし料は別」と言い出します。つまり、説明せずにトラックに積んだのも有料。それが嫌で下ろしてもらうのも有料。その説明を、あとになって話すのです。 この場合、多くの方は「お金を出して下ろすのも馬鹿馬鹿しいし、仕方がないから回収料だと思うか……」と、積み上げ料を払ってしまいます。
あるいは、「そのまま中古品にできるものは無料だが、処分しなくてはいけないものは有料」と言い出すケース。これもトラックに積み上げてから説明することが多いようです。 中古品になりそうなものはリサイクル店などに売却できるので、無料にするようです。反面、お金にならないものを有料にしていくので、それを帳消しにできるほどのいい品物を積み上げた場合は、トータルで考えてすべて無料にする業者もいます。
より悪質な場合、庭に無断で立ち入って自動車のバッテリーやパーツなどを勝手に持っていく業者もいます。立派な不法侵入であり窃盗ですが、実際に被害に遭いかけ、中止させたお客様によると「置いてあるから回収してあげようと思った」などと話したそうです。
そのお客様はすぐに警察に通報したものの、その隙にトラックで逃げられてしまったとのこと。同じようなことを続けているかと思うと、非常に残念です。
こうして回収した品物も、正式に処分せず不法投棄し、荷台をカラッポにして戻る業者も少なくないと聞きます。
彼の手元に残るのは、そう、お客さんから巻き上げた現金だけ……。
それでも利用する場合、お住まいの自治体の消費生活センターや警察へ相談することを念頭に置くべきかもしれません。
詳しくは「独立行政法人 国民生活センター」のページをご覧ください。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/sn-20071220.html
正しい値段には、正しい理由がある。
メーカーや家電量販店は「有料で処分する時代」の正しい価格を打ち出しています。処分にあたる役所や各センターなどは、正しい値段で回収しています。
家電品の処分にはお金がかかる。それを払って正しく処分することは、所有者の義務。
まずはそれを理解し、念頭に置いてから家電品を買わなくてはなりません。
そういった部分に入り込む「正しくない値段」には、理由も根拠もありません。きちんとした説明もありませんし、支払う義務もありません。
巻き込まれないためには、まず情報を得て「知ること」。そうした情報をもとに「利用しないこと」。さらに被害者が拡散しないよう「伝えること」。
トラブルの多くは、その3点で回避できます。
家電品処分もそうですが、何についても「うまくいく話はないか?」と思った時――それに関する、よくない業者がいる可能性があることを、決して忘れないようにしたいものです。