「本物」「ニセモノ」の判断
我々、ブランド品に関わる人間が、お客様によく聞かれる言葉です。
「それ本物? ニセモノ?」
実は、その品物が「本物かどうか」の最終的な判断は、我々のような中古品にかかわる業界の人間には、できないのです。
簡潔に言えば、それが「本物」であると断言できるのは、そのブランドにかかわる従業員や製作者だけです。
我々がおこなう真贋は、あくまで「基準内か、基準外か」の判定。ポイントとなる部分を多数確認し、ブランドの基準となる構造と合っているのか? それとも異なっているのか? をチェックしています。そうしたポイントの決定的な部分が異なっていたり、怪しい部分が多いと「基準外」という判断をすることになります。
また基準外だった場合も、その品物がブランド品のコピー目的で制作されたかも断言できないので、どれだけ確信的なNG部分が多くあっても「コピー品」という断言はできません。
そうして、多くの買取店は「基準外」という言い方をしていると思われます。
だからこそ、究極の真贋は「そのブランドに修理依頼すること」です。多くのブランドは、修理見積もりだけでもおこなっています。
たとえばルイ・ヴィトンは、バッグの一部に違う金具を使っているだけでも修理を断ります。すべてのパーツを自社製でまかなっているロレックスの腕時計も、もちろん同様です。
それだけ厳しい判定をするのですから、自分の持っているアイテムが本物かニセモノかを決定的に知りたい場合は、ブランドへの持ち込みが決定打になるでしょう。もしも「基準外のため、修理できない」と言われれば、それはそのブランドが公式にくだした、基準外品であるという判断です。
日々、学習を重ねている買取業界の人間も真贋の判断はできますが、そのブランドの人間ではないので「断言」はできないのです。
「本物・ニセモノ」は、貴金属に関してもよく聞かれることです。
お客様が金色のネックレスをお持ちになって「これ、本物?」と聞いてきた場合、ほとんどは「この金属は貴金属なのか」という意味でしょう。
しかし、もともとメッキ製品として販売されていた商品も無数にあります。その場合は「ニセモノ」とは言えないので、正確には「貴金属ではない、本物のメッキアクセサリー」という考え方になると思います。
よく見ると「K18GP」「K18GF」などのメッキ加工を意味する刻印も多く、それに関しては「もともとメッキ製品として流通していたもの」です。もとより「貴金属を全体に使用した製品ではない」との表示がされていることになります。それをニセモノと呼ぶのは、ちょっと酷な気がしますね。
そもそも、ブランド品でもメッキ製品は多くあります。「本物のシャネルのメッキ製品」も数多くあり、携行する小物類や身に着けるイヤリングなど、軽くて丈夫な金属を使ってデザインするものも多いと思います。
ただし、金質が異なる金属に「K18」「Pt900」などの表記を意図的に刻印している場合は、我々でも「本物の貴金属ではない」という判断はできます。銀にプラチナの表記をするなど、明らかな悪意のあるものは、ニセモノと明言してもいいかもしれません。
技術が進んでいる近い将来、おそらく「天然ダイヤと人工ダイヤ」なども「本物かニセモノか」と言われることになるのではないでしょうか。実際、キュービック・ジルコニア製品を「ニセモノ」と呼ぶ方が多くなっているように感じます。
近年、インターネット・オークションやフリーマーケット・アプリなどにより、個人間での取引が増えています。それにあわせてブランドの真贋ポイントについてのインターネット情報も豊富ですが、記述内容が誤っているものや思い込みによるもの、また現在の基準と異なるものなどもあります。参照することは安心につながりますが、あくまでご自身が納得するための要素として留めておくほうがいいでしょう。
気になったら、近くの買取店へ。
決定打が欲しければ、そのブランドへ。
あわせて「日本流通自主管理協会」のFAQページもご覧くださいませ。