中古品の購入についてその1

 

中古品の購入について

買取だけではなく、販売もするのが中古業界。
中には「買取専門」のお店もありますが、大規模リサイクル店から路面店、ひいては質屋さんまで、買取品を販売しているお店は多いと思います。
そうしたお店で中古品を購入する際、中古業界では一般的になっていることがあります。しかしひょっとしたら「えっ? そうなの?」と思ってしまうことかもしれません。
多くの中古販売店で共通する事項なので、記憶にとどめておくといいかもしれません。

 

【「お取り置き」はできない】

中古品は「不特定多数のお客さんから買い取った、1点もの」です。
それを欲しがる方が来店する可能性も、同じく不特定多数。毎日のように来てくれる常連さんもいれば、ときどきご来店される方もいるし、偶然入ってみたという方までいます。
そうした不特定多数の方に対し、その商品は「いつ売れるか」わからない。「どの人が買うか」もわからない。それが中古品販売の、ひとつの基本です。
よって、その中のおひとり様だけを優遇することはできません。そのため中古業界では、基本的に「お取り置きはしない」ことが暗黙のルールとなっています。
ただし個人経営の質屋さんや、ひとり店長の路面店などは「常連さんには」「特例で」やってくれるかもしれません。
しかし、たまたま来店した方が「来週必ず来るから!」とおっしゃっても、よく来てくれる常連さんと違い、確証のない口約束と考えるしかないため、ほとんどのお店では受け付けてもらえないと思います。中には再来店してくださる方もいらっしゃいますが、残念ながら来店しない方が多いのも実際のところです。
そうした実状を受けて、大規模リサイクル店などは基本的に、常連様相手でも「お取り置き禁止」を徹底して貫いています。

 

【「内金・手付金」を入れてキープはしない】

デパートでは「内金」という名義で、不動産などでは「手付金」として総額の一部を支払い、品物・物件を他の人に売らないようにキープすることがあります。
しかしそれらを今でもおこなっているのは、デパートや不動産ぐらいです。個人商店などでは「常連さんの信頼」でおこなっているお店もあるかもしれませんが、一般の小売業ではほぼ、そうした制度を設けているお店は見られないでしょう。
まず最大の理由は、お取り置きができない理由と同じく、来店してもらえる確約がないこと。
お店側内部の視点では、一部の清算が終わっているのに総額が支払われていないため、その日の在庫の事務処理ができないこと。
細かい視点であれば、在庫の場所代も発生する可能性があります。たとえばバッグは売場に置いておけば商品なので、所有権は完全にお店のもの。しかし一部を支払われてしまうと、いつまでもお客様の手に渡る予定のものがお店の一角を占領してしまうことになる。バッグならまだしも、大型家具などは問題になります。
また、約束の期限が過ぎればデパートは内金を回収して、それをお客さんに返す義務がなくなります。不動産の物件も仲介業者が一時金を回収し、契約破棄になります。それらは署名のある書類をもって「契約」されますが、一般的な小売業には、そうした書類もありません。
ひいては、一部を支払って商品をその場で持っていきたがる方までいます。お取り置きと同じく、もし来店しなかったら……というリスクヘッジの考え方を、どうしてもしなければならないのです。

 

【入荷連絡はしない】

「○○が入ったら連絡してよ」
こういったお願いも、中古業界は基本的に受けられません。
くりかえしとなりますが、基本的に中古品は「1点モノ」。お店に陳列されている商品は、ほとんどすべてが「不特定多数のお客様によるお持ち込み品」なのです。買取品である以上、いつお持ち込があるかわからないので、今後入荷されるという確約ができません。
もし買取が成立し、入荷された場合でも、ほかにもそれを探している方がいる可能性もあります。そう考えると先の事項とも重なりますが、おひとり様だけを優遇することになってしまいます。
購入側からすれば、訪問時の「時の運」もかかわってくる中古品は、基本的にはすべてのお客様に商品を見ていただくことが前提です。
また、もしも入荷連絡を始めた場合、その際限がなくなります。
たくさんの方から入荷連絡をお願いされ、買い取ってから連絡しても来てくれない。日が経っているので「不要になった」「趣味が変わった」ということでキャンセルになる。そもそも連絡がつかない。来てくれたものの「思っていたものと違う」と言われてしまう。そうした管理ばかりになり、ほかの仕事ができなくなり、経営に支障をきたす……。
これは決して大げさに言っているわけではなく、そういったリスク部分が大きいものを排除していくことが経営です。買取業界は中古品という利幅設定が一定ではなく、商品や顧客などあらゆる事項をキープすることが難しい業種のため、人件費と作業量の天秤がシビアです。そのため、こうした販売時のリスクヘッジが多くあるのです。
そのため、ほとんどの買取店は約束もできず、確実性もない入荷連絡はしていないと思います。

 

その2へつづく・・・・