買取時の本人確認について

買取の際、ほとんどの人がお店のスタッフに身分証を見せるように言われ、名前や住所などを書くと思います。もしそれをおこなわないと、買取を拒否されることが多いと思います。なぜ、その必要があるのでしょうか?

それは「古物営業法」によって、古物商(お店)には確認が義務付けられているからです。主に第十五条では「本人確認」の義務が、第十六条では「本人情報記載」の義務が記述されています。そのため、身分証を見せてもらい、個人情報を書いてもらえないと、古物商は買取ができません。その義務を怠って買い取ってしまうと法律違反となり、罰されてしまいます。

どんな方でも、本人証明を見せていただくのは必須です。また基本的には本人の自筆が求められ、字がうまく書けない方など「特例」の場合だけ、代筆が可能です。そのため、たとえばお客さんが「面倒だから」という理由で身分証を見せない、あるいは個人情報を書かない場合、古物商は義務違反となってしまうので、その買取を拒否する権利があるのです。

 


そもそも「身分証明書」って何?

一般に身分証とは「公的機関が発行した、本人証明となるもの」です。
運転免許証や保険証が多いですが、住基カードやマイナンバーカードなど、さまざまなものがあります。

・運転免許証
・運転経歴証(運転免許証の返納時、申請すると交付される)
・保険証(国民健康保険証、社会保険証)
・パスポート(日本国発行のもの)
・個人番号カード(マイナンバーカード)
・外国人登録証/在留カード
・障害者手帳
・印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
・戸籍謄本、抄本(発行から3ヶ月以内)
・住民票(発行から3ヶ月以内。マイナンバーが記載されている住民票は後述の理由により利用不可)
・住民基本台帳カード(顔写真付き住基カード)
・共済組合証
・社員証

以下は「これでもいい?」とお客さんからよく出されるものですが、どれも公的な証明としての効力がなく、いっさい対象外となるものです。

・キャッシュカード
・クレジットカード
・診察券
・住所などが記された手紙や封筒
・公共料金の支払い用紙
・個人番号(マイナンバー)通知カード(※マイナンバーカード申請用に使う、カード型で個人番号が書かれた緑色の紙)

特殊な立ち位置の「マイナンバーカード」

マイナンバーは「個人識別番号」のため、経歴や預貯金額など、すべての本人情報がそこから引用できるように計画されています。そのため厳密には、本人以外の人は見るだけでも法律違反です。自分の夫や妻がそれを見ても、実は法律違反になるのです。そのためマイナンバーカードを渡しての「代理人」は、いっさい許可されていません。ただし税理士や役人など、書類交付などに関わる人間がそれらをおこなう場合のみ、その番号を見たり写すのは特例で許可されています。買取店には許可されていないので、番号を控えることは許されていません。
よって、マイナンバーカードは番号が見えないよう加工されたフィルムに入っていますし、その番号を控えたり、番号が出ている状態でコピーするのは違法になってしまうのです。


必要事項は?

古物営業法では「住所、氏名、職業及び年齢」となっています。
しかし現在では、一般的には以下の内容が推奨されています。
・氏名(旧姓は不可)
・住所(現住所のみ)
・電話番号(携帯電話も可)
・生年月日(西暦または元号)
・年齢(省かれる場合もある)
・職業(無職も含まれる)

旧姓・旧住所など、内容が異なる場合、原則的には「現在の証書」として認められません。期限切れも同様で、証書としての効力が消滅しています。
そうした内容変更の可能性もあるため、毎回証明の提示を求める必要があるのです。また免許証の失効や返納、退職による保険証返納などの可能性もあるため、提示するものはコピー不可とし、原本が必要になります。

確認および記載は、毎回する必要があります。
中には証明をコピーし、データを登録して、確認を省略する店舗も増えています。しかし個人情報を記載してもらうのは、必ず毎回必要です。
古物商として、お客さんが「その時の買取内容に納得し、その時に同意した」証明として必要になり、それを保管する義務があるためです。

証明のほとんどには、交付番号が記載されています。
免許証であれば下部の12ケタ番号、保険証であれば上部・下部に分かれて記載されていると思います。パスポートや在留カードなどは右上に印字があり、住基カードも裏面下部に無色の数字刻印が入っています。
古物商はその証書の交付番号を記し、保管する義務もあるのです(マイナンバーを除く)。これは有事の際、警察がそれらの番号で本人照会をすることにもつながります。

一万円未満では不要

これらの義務は、買取額が「国家公安委員会規則で定める金額(10,000円)未満」の場合、不要となります。
そのため、いただいた数枚の金券しか売ったことがない方には「そんなの書いたことがないよ」という方もいらっしゃいます。
それでも警察としては身分証の提示・情報の記載を推奨しているので、同列視して金額に関係なくおこなっている店舗も多いと思います。特に本部統括しているチェーン店などは、本部の決めたルールで全員にお願いしていることが多い印象です。
また例外として、バイク、ゲームソフト、CD、DVDなどに関しては若年層の取引が多いこともあり、1万円未満でも記録しておかなければなりません。
なぜそんなことを?
ときどき、お客さんからも「どうしてこれを書くの?」と聞かれることがあります。それは前述の、法律上の理由が主ですが、もうひとつ大きな目的があるのです。質屋や買取店は警察と協力関係にあり、警察がもしも買取票やデータを見せるよう要求してきた場合、断ることはできません。
警察がそうする目的は、窃盗などの犯罪を防止し、盗品を被害者に返還する手助けをするためです。また団体によるコピー品横流しなど、不正行為・犯罪行為防止も目的としています。そのため買取店は品物のシリアル番号(個別番号)などを残す義務がありますし、お客さんが記入した個人情報がその品物に直結するよう、参照できるデータとして保管する必要があるのです。
そのため、法律の義務と警察と意向により、お客さん自身が記入することが必要になります。

個人情報は流出しない?

そうした個人情報は「古物営業法」第十六条により、買取店が管理する義務があります。通常取引は3年、200万円を越える取引は「犯罪収益移転防止法」により7年です。この情報を開示できるのは基本的に警察だけで、ほかのお客さんに見せることもできません。「個人情報保護法」により、第三者に情報を伝えることも制限されています。そのため、そうした情報を名簿会社などに流出させるのは、お店側の違反。きちんとした店舗を構えて体制がしっかりしているお店なら、そのような心配もありません。


きちんとしたお店であれば、必ずやっているはずの確認事項。
面倒に感じる方もいるかもしれませんが、これをやっているお店は法に則っています。つまりは、信頼できるという根拠にもなり得ます。
店舗が本人確認や取引記録の保管義務を怠った場合、お店が営業停止処分や刑事罰の対象になって利用できなくなる可能性があるので、きちんと正規の方法で買取してもらいましょう。