金属アレルギーについて

【金属アレルギーって何?】

近年、年代を問わず「金属アレルギーになった」というお話を耳にします。それこそ若い方から中高年の方まで、男女関係なく。
「メッキ製品がつけられなくなったので、金製品に変えた。でもホワイトゴールドはかぶれる」「今までしていた金のネックレスがつけられなくなったので、プラチナに変えた」「貴金属も反応が出るようになったけど、チタンやステンレスのリングなら大丈夫」……などなど、人により反応は様々。しかもほとんどの方は「なぜか知らないうちに、金属アレルギーになっていた」と言います。そんな不思議な「金属アレルギー」とは、どのようなものなのでしょうか?

一般に「アレルギー」とはタンパク質に対して起こるものなので、金属が直接にアレルギーを起こすわけではありません。金属アレルギーの場合、汗などで溶けてイオン化した金属物質が体内に入り、もともと人体に備わっているタンパク質と結合することでアレルゲン性のタンパク質に変化します。それを体内の白血球が「この物質は自分のものではない! 敵だ!」と反応して防御するため免疫反応を示し、結果として皮膚炎や粘膜炎といった皮膚の異常に至ります。これが「金属アレルギー」の仕組みです。そのため「貴金属を含め、金属そのものがアレルギーになっている」わけではないのです。
反応すると、リングの装着部分やネックレスが触れた部分が赤くなったり、皮膚にブツブツが出て痒くなったり、ピアスの穴が赤くなって膿んでしまったり、程度は様々ですが拒否反応が現出します。そして残念なことに、一度白血球が有害な敵と見なして金属アレルギーになってしまうと、他のアレルギーと同じく完治することは難しいようです。

【なぜ金属アレルギーになるの?】
金属アレルギーになってしまう決定的な理由や原因は、現在でも不明です。
ただし確実に言えるのは「体内に金属イオンが入り込み、白血球に敵と見なされるメカニズムの環境下にあった」ということです。
現代では昔よりも、金属に触れることが多くなりました。家の中でも金属を使った家電品・小型家電が多く、装身具にもベルトのバックルや腕時計、眼鏡などがあり、金属を使った建物の中で金属製の機械を操作する。家電品を避けても、文具はハサミもクリップも穴あけパンチも金属製です。ステンレスが多いものの、キッチン用品にも金属製品は無数とあります。そのように近辺にある金属から、知らず知らずのうちに金属イオンを体内に取り込んでいる危険性があります。直接的なものとしては、多いのがピアスホールの手入れ不足。穴をあけ、皮膚が形成されていない時点で安い合金製のピアスを使用すると金属アレルギーになることが少なくないようです。そのため皮膚ができるまでは「拒否反応を示しにくい、軸棒が18金のピアス」を入れていることが推奨されます。穴をあけた時に限らず「金属アレルギー患者の8割はピアスホールが原因」とさえ言われています。意外と気づきにくいところでは、痛んだ腕時計や眼鏡などの使用を続けること。装着している皮膚にキズができた場合、そこを通して汗で溶けた金属イオンが体内に入り込むことがあります。一時期は歯科用金属の接触皮膚炎から金属アレルギーを引き起こすと問題になりました。日進月歩の医療ですから、それからは常に改善を重ね、人体に害の少ない金属を患者に合わせて使用しています。また気づかない部分では食事に金属物質が含まれるものも多く、何のアレルギーかわからないまま発症してしまうそうです。

【どんな金属がアレルギーを起こすの?】
前述したように、金属アレルギーは金属そのものに対するアレルギーではありません。一部の金属イオンに体が拒否反応を示すものです。
実は、貴金属と呼ばれるプラチナ(Pt)、金(Au)、銀(Ag)は、このアレルギー反応を起こしません。作用するのはそこに混じっている「割り金(わりがね)」と呼ばれる「その他の金属」なのです。
たとえば18金(K18)は、75%の金(Au)を含んでいます。残る25%に他の金属を混ぜることで、やわらかい金の強度を上げるだけではなく、ピンクゴールドやホワイトゴールドのような色味を出すことができます。その「混ぜられた他の金属」が、一般に金属アレルギーを引き起こします。

主に、アレルギー反応を引き起こすものとしては「ニッケル(Ni)」「コバルト(Co)」「パラジウム(Pd)」「クロム(Cr)」「すず(Sn)」「水銀(Hg)」「銅(Cu)」などが有名です。
中でもニッケルはメッキアクセサリーの合金でよく使われますし、銅もイエローゴールドやシルバーの割り金でよく使われます。パラジウムはプラチナや金を白くする割り金でよく使われ、また歯科用金属やガソリン車の触媒として非常に高い需要を誇ります。

プラチナ(割り金:パラジウムなど)
イエローゴールド(割り金:銅・銀など)
ピンクゴールド(割り金:銅など)
ホワイトゴールド(割り金:パラジウムなど)
シルバー / 銀(割り金:ニッケル・銅など)
ステンレス(合金:鉄・クロム・ニッケルなど)
メッキ加工(クロムメッキなど)

【どんな人がなりやすいの?】
完全に「これが原因」という特定はされていない金属アレルギーですが、なりやすい人の傾向はあるようです。

汗をかきやすい人
汗が金属を溶かし、金属イオン発生の原因となります。

金属製アクセサリーを日常的に身に着けている人
アクセサリーだけでなく、金属製ベルトの腕時計も可能性はゼロではありません。

口腔内に銀歯(歯科金属)を多く使用している人
口腔内は粘膜なので、金属イオンが発生するとすぐに吸収されてしまいます。

金属が微量に入った食品を多く口にする人
大豆やチョコレートにはニッケルが、缶ジュースや缶詰には容器から溶け出した金属が含まれています。

……どれも基本的に「金属イオンが体内に進入してきやすい環境」のようですね。逆に言えば、これらを減らせば金属アレルギーになる可能性は低まると言えそうです。

【金属アレルギーかどうかを調べるには?】
一般には、皮膚科での「パッチテスト」が知られています。
しかし代表的な金属イオンでチェックするようなので、その結果も完全とは言えないようです。または、自覚症状があってテストを受けてみると「陰性」の方も多いと聞きます。それはテストに含まれていない金属にアレルギー反応がある方に加え、「実はアレルギーではなかった」というケースも多いそうです。

「痒いなぁ……かぶれるなぁ……」と実感する肌の赤みが、実は日常生活から発生するものだったということが多いようです。
・洗剤や薬品が原因の皮膚炎(手荒れ)
・指輪に付着している汚れが原因の皮膚炎(雑菌)
・汗が原因の皮膚炎(あせも)

【どう対策すればいいの?】
一度金属アレルギーになると、治らないだけではなく、他の金属でもアレルギーを発症する可能性が高まります。金属アレルギーになりにくい習慣を身につけるために、日頃から以下のことに気をつけましょう。

こまめに汗をふく
これだけで、金属の溶解をだいぶ防げます。

汗をかくような場面では、アクセサリーなどの金属を身につけないようにする
スレからキズになると、そこから汗で溶けた金属イオンが体内に入ります。

アクセサリーを選ぶ際は、アレルギーになりにくい素材を選ぶ
割り金が少なく純度の高い貴金属(K18、Pt900など)や、ステンレスやチタンなどを選びましょう。

指輪の汚れをこまめに洗う
リングは刻印もあって汚れがたまりやすく、指は日常で最も使うため発症リスクが高い部分です。

虫歯予防をする、口腔内を清潔に保つ
エチケットと同時に、金属アレルギーの可能性が減らせます。

気がついたら発症していて、宝飾品だけではなく日常生活レベルで困ってしまう金属アレルギー。いまだ謎が多いままですが、予防できるのであればそれに越したことはありません。アクセサリーも日常生活も楽しめるように、できることなら心がけたいですね。