貴金属、金プラチナを売るときに見てください!

貴金属買取の基本

「こんなに高くなるの?」と言われることも多い反面、「もっと高く売れると思ったのに……」という方も少なくない、貴金属アクセサリーの買取。貴金属の買取は基本的に、算出方法はほとんどの買取店では同じです。ただしグラム単価が異なるので、店舗による開きが生じます。ここでは改めて、貴金属買取の計算方法をまとめてみましょう。

(1). 基本は「貴金属の金質」×「グラム計算」
貴金属には、金であればインゴット(延べ棒)の「純金(K24)」やアクセサリーに多い「K18」、近年では安価なアクセサリーに多く使われる「K10」といった純度があります。プラチナの場合は「純プラチナ(Pt1000)」やリングやペンダントヘッドに多く使われる「Pt900」、ネックレスに多く使われる「Pt850」が一般的。昔の基準で「Pm」のみのものや、「Pt650」など純度が低いものもあります。まずはそれらの貴金属純度により、グラム単価が変化します。

金の場合は「インゴット > K24製品 > K22 > K21.6 > K20 > K18 > K14 > K12 > K10 > K9」
プラチナの場合は「インゴット > Pt1000製品 > Pt950 > Pt900 > Pt850 > それ以下の純度」
こうした純度が一般的で、数字が大きいほうが純度が高く、グラム単価も高くなります。また同じ純金や純プラチナでも、インゴットのほうがリングやネックレスといった製品よりグラム単価は高くなります。

その純度による買取店ごとのグラム単価と、計測したグラムを掛け算するだけで、買取額が算出できるのです。
計算上、ほとんどのケースでは末尾の数字は細かくなりますが、それはきちんとしたグラム単価で計算している証拠です。逆にゼロが並んだきれいな数字になっている場合は、グラム単価を疑ってみたほうがいいかもしれません。

 

(2). ダイヤモンドはプラス評価
もしもダイヤがついている場合、グラム計算して出した数字に評価をプラスします。0.3ct以上の一粒ダイヤとして評価できるものはひとつずつ評価されますが、それより小さいメレダイヤは「1ct分でいくら」とまとめて計算されます。純粋なグラム計算だけと違い、ダイヤのプラス評価によって切り上げられ、末尾の数字がきれいになっていることが多い傾向です。
なお、正確には1ct=0.2gの重さを総重量から差し引いてグラム計算します。

 

(3). 色石の評価は難しい
ダイヤ以外の、カラーが入っている「色石」は評価できるものが限られており、大粒のルビーやサファイア、エメラルドなど。
それ以外の評価できない色石の場合、除外してグラム計算しなくてはなりません。そのためおおよそのグラム数を考え、総重量から差し引いて計算することになります。そのため10gほどある大粒のパールリングも、パールが評価されない場合は数グラムの計算になってしまうことも少なくないのです。
色石が評価から除外される場合、外してもマイナスにならないよう、石の重さは多めに考えられます。そのためどうしても概算になってしまうのですが、正確に計算してほしい場合は石を取ってもらいましょう。しかし石は戻すことができないので、先にグラム単価を聞き、納得したうえで外してもらうことが重要です。

(4). デザインのプラス評価は特例
多くの方が、買い取ったアクセサリーはそのまま中古品として販売されるイメージがあるようです。しかし実際には古いデザインや彫りがあって二次販売が難しいものがほとんどなので、貴金属は溶かして精錬され、新しいアクセサリーの製造に使われます。
ごく一部、現在でも販売可能なデザインや、名のあるデザイナーによる特注品、色石が豪華なものなどに限られ、デザインのプラス評価がつけられることがあります。これは純粋なグラム計算よりも「販売用アイテム」として見るのに近い感覚です。

 

(5). ブランド品のアクセサリーはアイテムとしての査定になる可能性がある
貴金属製品でも、カルティエやブルガリといったブランド品の場合、中古流通市場がグラム計算以上になっている可能性があります。
その場合はバッグなどと同じ「アイテム」として考え、中古流通額から買取額を考えるため、グラム計算より高額になる可能性があります。
ただし、ブランド製品でもグラム計算と同等の金額になってしまうものも少なくありません。

以上が、貴金属買取の基本です。
この計算方法は多くの店舗に共通しているので、価格に開きが出る場合は各買取店によるグラム単価が異なっています。そのため売り慣れているお客様はグラム単価でお店を決めます。
もしもグラム単価を伝えなかったり、グラム数をごまかす店舗は利益幅を大きく取っている可能性があります。その2点をきちんと聞き出し、納得したうえで手放しましょう。


■どうして購入額と買取額に開きがあるの?
アクセサリー類は、販売されている時点では「商品」。つまり「原価にさまざまな価格がプラスされたもの」として売られています。
純粋な利益以外にもお店の家賃、従業員の費用、各種経費などなど、店舗経営にはお金がつきもの。そのため原価の数倍から数十倍で販売されているのです。デザイン料がかかっていたり、ブランド使用料が加算されているものも少なくないでしょう。
買取店の計算は店舗の基準で「貴金属の原価」を計算するだけ。そのため購入時の価格と買取額には大きな開きが生じます。

■なぜ査定額の印象が違うの?
冒頭に記しましたが、貴金属の買取額はきちんと計算しても、お客様によって印象が「高い」または「低い」に分かれがちです。
高いと感じるお客様は遺品整理など、当時の購入額や思い入れがない方が多い傾向です。そのため説明すると、計算方法などを納得していただけます。
逆に低く感じるお客様は、当時の購入額や色石への自己評価、アイテムとともに過ごした思い出など、思い入れが強いお客様が多いように感じます。
そのためグラム単価と重さでの計算を説明しても、現在より物価が高い当時の購入額を基準にして「半額ぐらいになるかと思った」という方や、色石の評価ができないため安く感じてしまう方もいらっしゃいます。アクセサリーをつけて過ごした大切な日々に対し、買取額が低いと感じることもあるようです。グラム単価ではなく「そのアイテム」として考えているため、齟齬が生じることが多いようです。

お気持は察するところがありますが、どうしても個人個人の思い出に価格をつけることはできません。
お客様の中には「これだけ使って少しでも戻ってくるなら充分」という方や「今までリースで分割払いを続けてきて、最後に還付金が残ったぐらいに考える」という方もいらっしゃいます。
貴金属とはいえアクセサリー、つまりは「モノ」なので、少しドライに考えないと手放せません。金相場が下落してから手放すのが、一番もったいない。しかし人間心理とは不思議なもので、一度処分をやめたものは、次に処分しようと考えた時、多少相場が下がっていてもあきらめて手放してしまいがちです。

 

金相場は常に上下する、言わば「ナマモノ」。
そのわずかな数字の上下よりも「売りたい」と思った時こそが、本当の売り時なのかもしれませんね。