真珠(パール)について
「買った時は高かったのに、売る時には価値がつかないなんて……」
そんな声をよく耳にする代表格、そのひとつは「真珠(パール)」です。
ここではパールの価値や現状について、お話してみましょう。
そもそも、真珠は「生もの」です。
生きているアコヤ貝の中で少しずつ大きくなり、形が良いものだけが製品になる。それが真珠。
そのためかなりの手間や手作業が重なっているため、自然と新品販売時には高級品になります。
特に大きいサイズや、質がいいものなどは18金やプラチナの台座や金具を使い、リングやネックレスとして高額で販売されます。
そこへ「ミキモト(MIKIMOTO)」「タサキ(TASAKI / 田崎真珠)」といったブランド・ネームが付与すると、さらに高額品になります。
あまりサイズが大きくなかったり、形に多少いびつさが見られるものは、地金部分に銀(シルバー)を使用して廉価で販売されることも多いようです。
しかし、そんなに手間がかかる真珠は、売却時には「ほとんどが評価されない」のです。それはなぜでしょうか?
真珠は、冒頭に記述したように「生もの」です。
もともとは生物の中にあったものですから、生物と同じく、時を経ると悪くなっていきます。
また最近は養殖技術が大幅に向上し、いわゆる「本真珠」はほとんどなくなりつつあります。
さらにはイミテーション技術も向上したため、若い層を中心に「本物でなくてもいい」という方が増えています。
すでにいちデザインとしてのファッション感覚になっている面も強く、使い捨て感覚になっている昨今のファッションでは、イミテーションのほうが好まれる部分もあります。
冠婚葬祭などの席に必要な場合でも、100円均一などのお店で「とても近寄らないとわからないぐらい」のクオリティのイミテーションが、すぐに手に入るようになっています。
そうした技術的な面や、価値観の変遷によって、真珠はダイヤのように「永遠に価値があるもの」ではなくなってしまったのです。
それを飛び越えるのが「ブランド力」。
先に挙げたミキモトやタサキといった真珠で有名なブランドや、ハイブランドのアクセサリーは「ブランド品のアイテムとして」取引されるため、真珠を用いたデザインのアクセサリーとして見られます。
しかしそれもブランドあってこそ。ノーブランド品や百貨店購入の真珠は、それ自体にアクセサリー評価に付与する力がなく、ほとんどの場合が「真珠の重さを引いて」金具部分だけを軽量した貴金属の重さ買取になってしまいます。
また意外な盲点としては「物価の変動」もあります。
「買った時は高かった」という方の多くは、数十年前の購入額を憶えています。しかし当時は「1ドル360円」などの好景気。2019年現在で1ドルが100円少しであることから単純に計算すると、現在より3倍以上の物価だったことになります。
これは好景気時代に購入されたアイテムの多くに言えることです。
母娘の間で引き継がれることも多く、思い入れも深い方が多い真珠。
せっかくですから、安価で処分するより保管しておくのも方法のひとつだと思います。
真珠アクセサリーは世代を越えて根強い人気がありますから、欲しがっている方に差し上げるのも手段のひとつです。
そのためにも、デリケートな真珠はケアが必要。
・使用後は表面を拭く(汗や脂が変色の原因になる)
・他の宝石と一緒にしない(表面がキズつきやすい)
・食品や洗剤、化粧品などを近づけない(溶ける可能性がある)
・湿度の高い場所を避ける(酸化が進んでしまう)
・極度に乾燥させない(表面ヒビや割れる可能性がある)
・紫外線や熱、光に当てない(変色しやすい)
こういったことを常に心がけ、小分けにしてケース保管することがオススメです。
またバラバラにならないよう、2年に1度を目安に中を通している糸を交換することも大切。
せっかく出会ったお気に入りの品物。
すぐに手放すのではなく、長く使ってあげれば真珠もきっと喜びますよ。